いつもの生活の中にも、人と人とがつながっていく場面がたくさんあるものです。ちょっとしたあいさつを交わすだけでも、そこには人のつながりが生まれます。大人の側から積極的にあいさつをしている方からお話をお聞きしました。

その方は、朝の通学時間帯にあわせて、家の前の道を掃除しながら登校する子どもたちにあいさつをしているそうです。あいさつを始めた頃は、子どもたちの反応は鈍く、あいさつが返ってくることはなかったそうです。恥ずかしそうにする子ども、無視する子ども、声をかけられて逃げるように走っていく子ども。それでも、毎日毎日あいさつを続けた結果、子どもからあいさつの返事が返ってくるようになったそうです。

子どもの保護者からは、「不審者のニュースが聞かれるようになって、子どもには知らない人と話してはいけないと教えてきたが、それが地域の人を知ろうとしない事につながっていたのではないかと思う。地震等の災害があった時、地域の人と顔見知りであることの方が、子どもにとっても自分にとっても大切な事なのだと思うようになった。不審者を恐れるあまり、もっと大切なものを失ってしまっては、なんにもならない。あいさつの持つ力を信じたくなった。」という声を聞くことができたそうです。

今では、子どもたちからあいさつをしてくれるようになったそうです。それも、道の遠くから、大きな声で。「車に気をつけろよ!」「宿題やったか?」あいさつの間に、そんな短い言葉も交わせるようになったそうです。

「子どもたちは、私の名前を知らないでしょう。私も、子どもの顔は知っていても住所や名前は知りません。しかし、それでいいのです。同じ地域に住んでいる者同士であるという事を、お互いに感じあってさえいればいいと思うのです。」

あいさつをすることに慣れていない人にとって、あいさつは気恥ずかしいものなのかもしれません。しかし、あいさつが持っている力は思っている以上に大きなものです。あいさつが返ってこなかったとしても、そこに意味はあるはずです。あいさつ、もう一度、はじめてみませんか。

※このコラムは、茅野市役所や各地区こども館などでも配布している毎月発行の情報誌「Monthlyどんぐり通信」2012年01月号より再掲載致しました。